Letter 環境:1997年のインドネシアにおける泥炭地および森林の火災で放出された炭素量 2002年11月7日 Nature 420, 6911 doi: 10.1038/nature01131 熱帯泥炭地は、地表近くにある、陸上有機炭素の極めて大きな貯蔵地で、安定に維持されることが気候変動に大きな意味をもつ。低地の熱帯泥炭地は、最大厚が20mになる泥炭層で表面が覆われた泥炭湿地林の豊かな成長を維持している。長期間の環境変化、特に干拓や森林伐採は、その安定性を脅かし、火災の発生をさせやすくする。これは、1997年のエルニーニョによるインドネシアの森林泥炭地全体における広域火災の発生から明らかである。本論文では、1997年に発生した火災の前後にボルネオ島の中部カリマンタン州の調査地域2.5百万ヘクタールを撮影した衛星画像を用いて、同地域の32% (0.79 Mha)が焼失し、そのうち泥炭地が占める割合が91.5% (0.73 Mha)であったと算出した。焼失した泥炭層の深さの実地測定により、0.19〜0.23ギガトン(Gt)の炭素が、泥炭の燃焼によって大気中に放出され、さらに0.05 Gtが、表面を覆った植生の焼失により放出されたと推定した。以上の推定値をインドネシア全体に外挿すると、同国の泥炭と植生の焼失の結果、1997年に0.81〜2.57 Gtの炭素が大気中に放出されたと推定される。この推定値は、化石燃料による全地球的炭素放出量の年平均値の13〜40%に相当し、1957年に記録を開始してから検出された大気中二酸化炭素濃度の最多年間増加量に大きく寄与している。 Full Text PDF 目次へ戻る