Letter 細胞:ショウジョウバエの後成的転写制御因子Ash1によるヒストンのメチル化 2002年10月24日 Nature 419, 6909 doi: 10.1038/nature01126 細胞の運命の決定や機能には、有糸分裂や減数分裂を経ても安定な(後成的)転写パターンの確立と維持が重要である。転写の後成的制御は、後成的なアクチベーターとリプレッサーによって行われ、後成的シグナルの確立、「波及」、維持を必要とするらしい。このようなシグナルは不明だが、クロマチン構造や転写後のヒストンの修飾は、後成的な遺伝子発現に重要な役割を果たすと考えられている。本論文では、後成的アクチベーターAsh1が多触媒性ヒストンメチル基転移酵素(HMTase)で、H3のリシン4と9、H4のリシン20をメチル化することを明らかにする。Ash1による転写の活性化と同時に、標的とする遺伝子のプロモーター部位においてこれら3個のリシン残基がメチル化される。Ash1によって生じたメチル化パターンが、後成的アクチベーターでATPアーゼでもあるBrahma(Brm)を含むクロマチン再編成複合体の結合表面としてはたらき、後成的リプレッサーとクロマチンとの結合を阻害する。クロマチンの免疫沈降により、ショウジョウバエのウルトラバイソラックス遺伝子の後成的転写活性化が、Ash1による3か所のメチル化やBrmの動員に一致して起こることが示された。つまり、Ash1によるヒストンメチル化が活性な後成的転写パターンを確立する特異的シグナルになっている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る