Letter 進化:現代のサケ科魚類の小規模個体群に見られるフィッシャー説に則った生活史の進化 2002年10月24日 Nature 419, 6909 doi: 10.1038/nature01029 最初の集団遺伝学モデルが導入されて以来、表現型の進化において自然選択と遺伝的浮動とが相対的にどの程度重要なのかが議論の的となってきた。進化に関するフィッシャー説(自然選択を重視)とライト説(遺伝的浮動を重視)を評価するのに用いられる実験上の証拠は、不明瞭さを脱していない。その理由は、中立的な分岐の正式な検証法、あるいは、選択と浮動の各効果を分離しようとする行き届いた試みが乏しくて間違いを免れにくく、また、周知の個体群統計学に照らし合わせた解釈がなされてこなかったからである。我々は、量的遺伝学解析とマイクロサテライトDNA解析を併用して、カワヒメマス(Thymallus thymallus、サケ科魚類)の隔離された複数個体群における現代の生活史の進化の決定要因を調べた。これらの個体群は、80年から120年前に共通の魚群から派生した。本論文では、自然選択が、量的形質の進化において最も優勢な分岐要因となったことを示す。しかし、これらの個体群は少数の個体を基にしてできたものであり、マイクロサテライトをもとに算定した個体群の有効サイズは非常に小さく、重度の「ボトルネック効果」を被ったことを示す遺伝的痕跡が見られる。「ボトルネック効果」は、選択を制限し、浮動に好都合に働くと考えられることが多い。今回の研究結果は、現代の時間スケールにおいて、小規模な自然個体群でフィッシャー説に則った進化の例を明確に示している。 Full Text PDF 目次へ戻る