Letter 生化学:鎖状に連結されたシクロブタン環をもつ脂質が、細菌の緻密な膜を形作っている 2002年10月17日 Nature 419, 6908 doi: 10.1038/nature01128 細胞の脂質膜はイオンや代謝物の濃度勾配を形成可能とするため、細胞の機能に不可欠である。微生物の膜脂質には、脂肪族の三員環、五員環、六員環、七員環まで存在するが、四員環の脂肪族化合物であるシクロブタン環はこれまで見つかっていなかった。ここでは、2種類の嫌気的アンモニア酸化(アナモックス)細菌の主要な膜脂質中にシクロブタン環を発見したことを報告する。これらの脂質には、最高5個のシクロブタン環が直鎖状にcis配列で融合して含まれている。このような「ラダラン(ladderane)」分子は、自然界では前例がないが、オプトエレクトロニクス分野では有望な構成素材として知られている。このラダラン脂質は、アナモックス菌の代謝が行われる細胞質区画であるアナモキソソームの膜に存在する。この脂質が形成する膜は非常に緻密で、拡散に対する強固な障壁となる。我々は、アナモックスの極端にゆっくりとした代謝が行われる間中、濃度勾配を維持し、有害な代謝中間体から細胞の他の部分を守るためには、このような緻密な膜が必要なのだと考えている。今回の結果は、微生物の膜脂質の構造がこれまで考えられていたよりもはるかに多様なことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る