Letter 遺伝:SATB1はクロマチン再編成を起こし遺伝子を長距離にわたって制御する 2002年10月10日 Nature 419, 6907 doi: 10.1038/nature01084 真核生物の染色体は核内で再編成され、細胞種によってゲノムの一部のみが発現するようになるが、この再編成の詳細については殆どわかっていない。主に胸腺細胞で見つかるタンパク質SATB1(ATに富む特異的配列1)は、クロマチンをループドメインに折りたたむことで遺伝子を制御し、特殊化したDNA配列をSATB1ネットワーク構造につなぎ留める。遺伝子ターゲティング法によりSATB1を取り除くと、さまざまな遺伝子が時期的・空間的に異常な発現をし、T細胞分化が停止することから、SATB1は細胞種特異的な広域遺伝子調節因子であると考えられる。本論文では、SATB1がIL-2Rα(interleukin-2 receptorα)遺伝子にクロマチン再編成を起こすことを報告する。この遺伝子は、SATB1を欠く胸腺細胞では異所的に転写される。SATB1は、NURDクロマチン再編成複合体に含まれるヒストンデアセチラーゼを、IL-2Rα座にあるSATB1結合部位に動員し、この遺伝子座内の広い領域でのヒストンの特異的な脱アセチル化に関与する。SATB1はまた、ヌクレオソーム可動化複合体CHRACおよびACFのサブユニットであるACF1とISWIも、この特異的結合部位に向かわせて、7キロ塩基にわたるヌクレオソームの配置を制御する。SATB1は、数種のクロマチン再編成酵素の「着地台」として働いて、クロマチンの大規模ドメインを制御する、一群の転写調節因子の存在を明らかにするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る