Letter 医学:ポリコウムグループタンパク質であるEZH2は前立腺癌の進行に関与している 2002年10月10日 Nature 419, 6907 doi: 10.1038/nature01075 前立腺癌は、男性における癌に関連した死亡の主な原因の1つであり、肺癌を除けば最大の死亡原因といえる。臨床的限局性前立腺癌に対しては、効果的な外科的治療法および放射線治療法が存在するが、転移性の前立腺癌は本質的に不治なままである。本論文で我々は、遺伝子発現プロファイリングによって、ポリコウムグループのタンパク質であるEZH2 (enhancer of zeste homolog 2)がホルモン応答性の転移性前立腺癌に発現していることを示す。EZH2を標的とする干渉性短鎖RNA(siRNA)二重鎖によって、前立腺細胞中のEZH2タンパク質の量が減少し、また、in vitroでの細胞増殖が抑制される。前立腺細胞でEZH2を異所的に発現させると、特異的な遺伝子群の転写抑制が誘導される。このEZH2によって媒介される遺伝子サイレンシングは、SETドメインを必要とし、ヒストン脱アセチル化酵素活性を阻害することでその効果が減じる。転移性の前立腺癌中では、EZH2メッセンジャーRNA量およびEZH2タンパク質量がともに増加している。また、高い濃度のEZH2を発現する臨床的限局性前立腺癌では、予後はより悪いものになる。このように、EZH2発現の調節不全は前立腺癌の進行に関与していると考えられ、また、無痛性の前立腺癌と致命的な進行をする危険な癌とを見分けるマーカーになる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る