Letter 医学:高精度質量分析によるマラリア原虫プロテオームの解析 2002年10月3日 Nature 419, 6906 doi: 10.1038/nature01111 注釈付けのなされた生物ゲノムは、その生物の候補遺伝子産物がもたらす機能を詳細に示す「計画図」にあたる。ポストゲノム分析では、注釈付けの確認と修正が試みられるほか、生物体による遺伝情報の空間的、時間的、および発生段階的な使われ方の意味付けが試みられる。今回、ヒトマラリア原虫Plasmodium falciparumのいくつかの成長段階について、大規模かつ高精度(平均偏差が1,000 Daで0.02 Da未満)の質量分析によるプロテオーム分析を行ったので報告する。分析の結果、計1,289種のタンパク質の存在が明らかになり、そのうち714種のタンパク質は無性生殖をする赤血球内型虫体で、931種はガメトサイト(生殖母体)で、645種はガメテ(生殖体)でそれぞれ同定された。後者2群は、マラリア原虫の有性生殖世代の生物学的解明に有用であり、無性段階から保存されたタンパク質、有性段階特異的なタンパク質、分泌型タンパク質、および膜結合型タンパク質を含んでいた。これらのタンパク質群の一部には、細胞間相互作用への関与を示唆するドメインが含まれるので、マラリアワクチン製剤の成分候補として検討に値する。また、原虫ゲノムと有意な一致性を示すが、コンピューターによる方法で予測されたタンパク質群とは一致しない一連のペプチドについても報告する。 Full Text PDF 目次へ戻る