Letter 物理:低温反水素原子の生成と検出 2002年10月3日 Nature 419, 6906 doi: 10.1038/nature01096 素粒子と相互作用の標準理論は、CPT不変性が理論的土台となっている。すなわち、荷電共役変換、パリティ変換、時間反転変換の3つを組み合わせた操作を行っても物理法則が不変である必要がある。ディラックによって存在が予言された反物質を利用してCPT定理の検証が可能であり、粒子と反粒子の比較をはじめとする実験的研究が実際に数多く行われている。CPT不変性は、水素と反水素のような原子と反原子が同じスペクトルを持たなければならないことを要請しているため、低温の原子と反原子を比較することにより新しい精密検証の基礎を築くことができるであろう。少数の高エネルギー反水素の観測については、欧州原子核研究機構(CERN)およびフェルミ国立加速器研究所(米)ですでに報告されている。しかし、これらの実験は、精密な比較測定に適したものではなかった。今回我々は低温環境でトラップされた反陽子と陽電子とを混合することにより、非常に低いエネルギーの反水素原子を生成したので報告する。それらの中性反水素原子はトラップから脱出して消滅し、イメージング粒子検出器内に特徴的な飛跡を残すが、これらの事象を捉えることにより反水素原子を直接的に検出した。 Full Text PDF 目次へ戻る