初めて火星の極領域が映った画像で、交互に現れる明部と暗部が層状になっていることが明らかになってから、層の形成は、惑星の公転による気候の影響に強く関係しているという可能性が推測されている。しかし、堆積の時間スケールには2桁を上回る不確定性がある。塵の堆積、氷の形成と昇華、そして公転の影響にともなうそれらの変化に基づく堆積速度の予測は、10-3から10-2 cm yr -1を示唆するが、クレータ生成率に基づく堆積速度の予測では、0.1から 0.2 cm yr -1にもなる。本論文では、極の層状領域の高解像度画像と高解像度の地形図および火星の公転と自転パラメータの修正された計算を用いて、深度の関数としての氷層の輝度(層状領域の画像の測光学的データから得られたもの)と火星の北極での夏の日射量の変化との間に相関が存在することを示す。この結果は地球での古気候の研究で示されているものと同様である。輝度分布とシミュレートされた日射量パラメータとを最良適合させた場合、火星の北極にある氷冠の頂上から 250mの高さの堆積物に対して、0.05 cm yr -1の平均堆積速度を得た。