Letter 化学:H+HD→D+H2反応における中間体の減速による前方散乱 2002年9月19日 Nature 419, 6904 doi: 10.1038/nature01068 反応物と生成物とを分けるエネルギー障壁付近の量子動力学過程は、化学反応の素反応が起こる詳細な機構に影響を及ぼす。実際、これらの過程においては、F+H2→HF+HおよびH+H2→H2+Hの2種類の古典的な反応、ならびに同位体を用いたこれらの変種の反応に見られるように、生成物の散乱挙動が単純な衝突から予想される挙動と異なる可能性がある。F+HDの反応の場合、トラップされた量子化フェッシュバッハ共鳴状態の役割が直接確認され、フェッシュバッハ共鳴は状態特異的な生成物分子の前方散乱を引き起こすという先に報告された結論が裏付けられた。前方散乱は、H+D2→HD+D反応でも観測され、時間の遅れを伴う機構に起因していた。しかし、広範囲にわたる実験的および理論的調査にもかかわらず、機構の詳細は不明瞭なままである。今回、H+HD→H2+D反応に関して、交差ビームによる散乱実験と量子計算を行ったので報告する。反応障壁の頂点に近づくにつれて、反応座標に沿った系の動きが遅くなっており、それにより反応座標に垂直な振動と前方散乱が可能となることが明らかとなった。したがって、かつて示唆されたように、この反応は先の観測によるトラップされたフェッシュバッハ共鳴状態とは異なる明確な「量子化されたボトルネック状態」を経由して進行している。 Full Text PDF 目次へ戻る