Letter 細胞:プレスチンは外有毛細胞の電位伸縮能および蝸牛の増幅能に必要 2002年9月19日 Nature 419, 6904 doi: 10.1038/nature01059 哺乳類の聴覚感度は機械的振動の増幅によって40デシベル(すなわち100倍)以上高められており、この増幅を行っているのは蝸牛内の感覚細胞の一種である外有毛細胞と考えられている。哺乳類の外有毛細胞は、聴覚に必要な機械−電気変換に加えて、電気−機械変換も行っており、この仕組みによってin vitroでは可聴周波数において膜電位により細胞が伸縮する。この電位伸縮能は、膜タンパク質が電位依存性のコンホメーション変化を起こすことで生じると考えられており、プレスチンがこの分子モーターであるという見解が出されている。本論文では、マウスでプレスチンを標的として欠損させると、in vitroでは外有毛細胞の電位伸縮能が消失し、in vitroでは蝸牛の感度が40〜60デシベル低減するが、外有毛細胞の機械−電気変換は破壊されないことを報告する。異型接合体では、野生型と比べて電位伸縮能が半減し、蝸牛の感度閾値は2倍(およそ6デシベル増)になる。これらの結果から、プレスチンは実際にモータータンパク質であり、電位伸縮能と蝸牛増幅能との間には単純で直接的な共役関係があって、哺乳類の耳における蝸牛の感度の高さを説明するのにこれ以上の作動過程を求める必要はないと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る