Letter 神経:漸増的な訓練によって増強される成体メンフクロウの聴覚空間マップの可塑性 2002年9月19日 Nature 419, 6904 doi: 10.1038/nature01002 学習の基盤となる中枢神経系の可塑性は、一般的にいって、幼若な個体に比べて成熟個体では、より限定的である。よく調べられた例では、メンフクロウを非日常的な条件において聴覚定位神経路の調節をさせると、その能力は、成熟後は幼若時よりはるかに劣る。視野を大きく水平にずらすようなプリズム眼鏡をフクロウに着けると、この神経路に可塑的変化が起こるこの場合、幼若個体ではたとえば両耳間時間差(ITD)のような聴覚手がかりと視覚空間内の定位との間に新しい関係づけを学習して、視蓋内にITDについての新しい神経生理学的マップを形成する。これに対し、成熟個体では学習もマップ形成もできない。しかし今回、プリズム移動を少しずつ大きくしていくと、成熟個体のITDマップも、やはり適応的に変化することがわかった。そして、このような漸増的訓練によっていったん新マップを獲得したあとは、二度目に一どきに大きく視野移動させても、新マップを再獲得することができた。この結果は、成熟個体にも、従来考えられていたよりかなり大きな可塑性能力があることを示しており、この能力を引き出すための原理に裏づけられた戦略を用いれば、成熟動物の中枢神経系の他の領域にも応用が可能と思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る