Letter 物性:人工の水素およびヘリウム原子における許容および禁制遷移 2002年9月19日 Nature 419, 6904 doi: 10.1038/nature00976 原子の放射遷移の強度は、電子による原子軌道の占有状態に依存する選択則によって支配される。しばしば「人工原子」と呼ばれる半導体量子ドットにおいても、量子化エネルギー準位が同様の電子占有を示すことが実験により示されている。しかし、本物の原子と違って、量子ドットの閉じ込めポテンシャルには異方性があり、また、電子は材料のフォノンと容易に結合しうる。今回我々は、電気的な励起および検出(pump-and-probe)実験により、1個または2個の電子をもつ量子ドット(人工の水素原子とヘリウム原子)における、フォノン放射に対するエネルギー準位間の許容および「禁制」遷移を調べた。実際には、電子がスピンの向きを変える高次過程により禁制遷移も許される。我々は、禁制遷移の緩和時間が約200μsで、許容遷移よりも4〜5桁長いことを見いだした。このことは、スピン自由度が軌道自由度からよく分離しており、量子ドットの全スピンがきちんとした量子数であることを示す。今回の結果は、量子ドットをスピンに基づく量子情報保存の基本素子として応用しうる可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る