Letter 医学:Lkb1腫瘍抑制因子の欠損は小腸ポリポーシスを誘発するがトランスフォーメーションに対しては抵抗性である 2002年9月12日 Nature 419, 6903 doi: 10.1038/nature01045 LKB1(STK11ともいう)の生殖細胞系列での変異は、胃腸のポリポーシスや癌を伴うことが多いポイツ・ジェガーズ(Peutz-Jeghers)症候群(PJS)に関連している。PJSのポリープは、上皮性および間質性の過増殖が顕著であるが悪性化能はわずかという変わった特徴をもつ新生物である。本論文では、Lkb1+/-マウスは、PJS患者に見られるものと同一の腸内ポリープを形成することを示した。このようなin vivoでの腫瘍抑制機能は、Lkb1欠損が、Ink4a、Arfもしくはp53の欠失なしに継代培養による老化を防ぐ作用と矛盾しない。致死性が損なわれているにもかかわらず、Lkb1-/-マウスの胚性繊維芽細胞は、活性型Ha-ras単独、もしくは活性型Ha-rasと不死化作用をもつ癌遺伝子によってもたらされるトランスフォーメーションに対して抵抗性を示す。この表現型は、PJSのポリープに見られるras変異が稀であることと矛盾せず、新生物形成初期でのLkb1機能の欠失が、その後の癌遺伝子によるトランスフォーメーションに対して細胞を抵抗性にすることを示唆している。また、Lkb1トランスクリプトームは、血管形成や細胞外基質のリモデリング、細胞接着、rasトランスフォーメーションの阻害に関わる因子の調節に関連していることがわかっている。これらの結果から、PJSポリポーシスのいくつかの特徴、特にその特有の病理組織学的症状やわずかな悪性化能を説明することができ、Lkb1が他と異なる種類の腫瘍抑制因子であることが示された。 Full Text PDF 目次へ戻る