Article 生物物理:MscLの開状態の構造と機械刺激感受性チャネルの開閉機構 2002年8月29日 Nature 418, 6901 doi: 10.1038/nature00992 機械的刺激感受性チャネルは、膜に埋め込まれた機械的信号を電気信号に変換するスイッチとして働く分子で、水に満たされた大きな孔が脂質二重層の変形に応じて開く。この過程は、たとえば接触受容、聴覚、浸透圧調節など、生体が直接物理的刺激に反応する上で重要である。本論文では、原核細胞の大孔径機械刺激感受性チャネル(MscL)で、この過程の基盤をなす構造的変化を、電子常磁性共鳴分光法と部位特異的電子スピン標識法を利用して決定した。脂質二重層の形態を変えてやると、MscLは開状態と中間的閉状態とにトラップされる。中間状態への移行の特徴は、第一膜貫通ヘリックス(TM1)のわずかな移動である。ひきつづく開状態への移行はTM1とTM2の大規模な配置変えを伴っており、それはプローブの運動性の増大や溶媒の侵入、サブユニット間のスピン−スピン相互作用全ての消失から示される。開状態は高い運動性をもっており、主としてTM1を内壁とする少なくとも直径25Å含水性の孔という構造を裏づけている。これらの構造は、機械刺激感受性チャネルの開閉について、妥当と思われる分子機構を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る