Ca2+依存性膜電位依存性大コンダクタンスK+チャネル(BKチャネル)は、膜電位と細胞内Ca2+という2つの別個の生理的シグナルに応答する。チャネルの開口は0.5μmから50mMという範囲のCa2+濃度変化によって調節されているが、こういう広範囲のCa2+に応答するのは、Ca2+調節性タンパク質の中では異例といえる。BKチャネルの膜電位による調節については、他の膜電位依存性チャネルと同様の機構によっていることが知られているが、Ca2+による調節機構に関してはほとんど判っていない。細胞質側にある大きなカルボキシ末端領域にあって、「Ca2+ボウル」と呼ばれる部位がCa2+調節部位の候補の一つと考えられている。今回我々は、C末側にあるRCK部位(Regulator of Conductance for K+)と呼ばれるまた別の部位中に、2価カチオン調節作用を示すアミノ酸残基群がもう2つあることを見出した。1つの部位はCa2+ボウルと共に、Ca2+によるBKチャネルの生理的調節の全てに関わっている。もう1つの部位は、mM程度の濃度の2価カチオンが及ぼす影響に関わっており、細胞内Mg2+による生理的調節を担っている可能性がある。BKチャネルが調節を受けるCa2+の濃度範囲が広いことは、こういう複数の部位による独立した調節機構の存在によって説明できる。この調節機構があるために、BKチャネルは、Ca2+濃度によって異なる様々な生理的役割を果たすことができる。