Letter 生理:TGFβ/Nodalシグナル伝達に必要なARC/Mediator複合体の構成因子 2002年8月8日 Nature 418, 6898 doi: 10.1038/nature00969 サイトカインのトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)ファミリーには、NodalやActivin、骨形成タンパク質(BMP)などが含まれ、発生や腫瘍形成に不可欠な役割を果たしている。TGFβ分子はシグナル伝達因子のSmadファミリーを活性化し、Smad分子は特異的なDNA結合タンパク質と複合体を形成して遺伝子発現を制御する。Smadを介するシグナル伝達系はすでに2種類存在することが突き止められている。すなわちSmad2(またはSmad3)‐Smad4複合体を介するTGFβ、Activin、Nodalシグナル伝達系と、Smad1-Smad4複合体を介するBMPシグナル伝達系である。しかし、別種のSmad複合体がどのようにして特定の遺伝子発現を制御しているのかは、完全に解明されていない。本論文では、転写活性化因子強化補助因子(ARC)複合体もしくは後生動物のMediator複合体の構成因子であるARC105が、TGFβ/Activin/Nodal/Smad2/3シグナル伝達に必須であることを報告する。ARC105の発現は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)胚においてActivin/Nodal/Smad2シグナル伝達を刺激して、体軸の重複や内中胚葉の分化を引き起こし、またヒト細胞ではTGFβ応答を亢進する。ARC105タンパク質の発現を阻害させると、TGFβ/Activin/Nodal/Smad2/3シグナル伝達およびツメガエルでの体軸形成は抑制されるが、BMP/Smad1シグナル伝達は抑制されない。ARC105タンパク質は、TGFβに応答してSma2/3-Smad4に結合し、Smad2に依存する形で、クロマチンのActivin/Nodal反応性プロモーターに動員される。したがってARC105は、TGFβ/Activin/Nodal/Smad2/3シグナル伝達を転写活性化につなげるのに特異的かつ重要なARC/Mediator構成因子である。 Full Text PDF 目次へ戻る