Letter 物性:準1次元有機伝導体におけるスピン―電荷分離の証拠 2002年8月8日 Nature 418, 6898 doi: 10.1038/nature00913 相互作用する伝導電子は通常、フェルミ液体理論の範囲内で記述される。この理論では、強い相互作用にもかかわらず、低エネルギー励起は電荷とスピンをもつ電子様の準粒子であるとされる。近年、フェルミ液体ではない伝導系に多大な関心が寄せられている。銅酸化物超伝導体を筆頭に、さまざまな材料で非常に変わった金属状態が観察されたからだ。非フェルミ液体挙動は、相互作用する1次元電子系に一般的で、こうした系はラッティンジャー液体になると予想されている。そのおもな特性の1つはスピン―電荷分離である。準粒子の代わりに電荷の集団励起(スピンをもたない)またはスピンの集団励起(電荷をもたない)が形成され、それぞれ独立に異なる速度で運動する。しかし、スピン―電荷分離の実験による確認は難題である。今回、準1次元伝導体である有機Bechgaard塩における電荷と熱の流れを探る実験を報告する。電荷とスピンの励起は明らかに異なる熱伝導率をもつことがわかり、スピン−電荷分離の強力な証拠が得られた。スピン励起は電荷励起よりもはるかに大きい熱伝導率をもち、電荷励起の格子とのカップリングが重要なことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る