Letter

生化学:環状ペプチド抗生物質のバイオミメティック合成と最適化

Nature 418, 6898 doi: 10.1038/nature00907

自然界には、環状構造をとること(マクロ環形成)によって生物活性をもつようになる分子が多くある。非リボソーム性ペプチド合成酵素やポリケチド合成酵素によるマクロ環化合物の酵素合成において何回も繰り返されるのは、活性化した直鎖状の中間体をキャリアータンパク質にチオエステル結合を介して結合させるという、固相合成法の天然版とも言える反応である。合成酵素末端のチオエステラーゼドメインが、最後にこの結合をはずして環化させる反応を触媒する。ここでは、この末端チオエステラーゼドメインだけを単離したものが、生合成の場合を模したリンカーを利用して固相支持体に固定した直鎖状ペプチドの環化を触媒することを明らかにし、天然物の生合成とコンビナトリアル固相合成との融合が可能なことを示す。このような化学-酵素融合法を使うことによって、環状のデカペプチド抗生物質チロシジンAから出発して直鎖状ペプチド部分をさまざまに変化させて、マクロ環形成酵素TycCチオエステラーゼの性質を調べることができ、また環状ペプチド抗生物質ライブラリーを作成することもできた。この方法を用いて、治療に使える可能性のある天然物質類似体が見つかった。これらの化合物は、真核生物の膜よりも細菌の膜に対する作用が強く、数種のよく見られる病原菌に対する抗菌スペクトルがもとの抗生物質よりも優れていた。

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