Letter 生態:風による種子の長距離分散機構 2002年7月25日 Nature 418, 6896 doi: 10.1038/nature00844 長距離分散(LDD)は、気候変動後の種の分布拡大や撹乱された地域での再移住、有害生物への対策に中心的な役割を果たす。LDD現象の頻度や空間規模を予測することはきわめて難しい、というのが現在の一般認識である。本論文では、種子放出および空気力学を乱流輸送過程と連動させた機構論的モデルが、風による種子のLDDについて正確な確率論的説明ができることを報告する。このモデルは、米国東部の落葉樹林に高さ45メートルの塔を建て、付近の5種の樹木から分散した種子を実際に集めて調べた垂直分布を高い信頼度で予測できる。このモデルを使ったシミュレーションでは、林冠の上への種子の上昇がLDDに必要かつ十分であることが示され、このシミュレーションはLDDを任意にではなく定量的に規定する手段となっている。したがって長距離移住の確率の上限は種子の上昇確率によって制限される。上昇したユリノキの種子は平均すると林床にある種子よりも軽いが、最重量級の種子も含んでいる。上昇の確率はかなりの値となり(1〜5%にもなる)、樹木が産する種子量は一般に大量であるため、LDD事象で、大規模な植物動態に大きな影響を与えうるような植物個体が確立されるはずである。 Full Text PDF 目次へ戻る