Letter 医学:先天性筋ジストロフィーにおけるジストログリカン‐リガンド結合の翻訳後性障害 2002年7月25日 Nature 418, 6896 doi: 10.1038/nature00837 筋‐眼‐脳(MEB)病と福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は、同じような脳形成異常をともなう先天性筋ジストロフィーである。FCMDの原因遺伝子であるfukutinは、fringeに類似する糖転移酵素遺伝子と一定の相同性があり、また、MEBの原因遺伝子POMGnT1も新種の糖転移酵素遺伝子と考えられている。本論文では、MEB患者とFCMD患者ではともに筋細胞膜にα‐ジストログリカンが発現しているものの、両者ともに同様のα‐ジストログリカンの糖鎖修飾不全が認められ、まさにその糖鎖修飾不全によって、ラミニン、ニューレキシン、アグリンといったリガンドに対するα‐ジストログリカンの結合能力が失われてしまうことを報告する。同様の翻訳後段階でのα‐ジストログリカンの生化学的および機能的障害が、変異型myodystrophy(myd)マウスの筋肉と中枢神経系でも認められることを示した。mydマウスは、大脳皮質や小脳、海馬でのニューロンの移動に異常があり、基底膜が破壊されていることを明らかにした。さらにmydマウスを調べることにより、ジストログリカンが細胞外マトリックスタンパク質との結合を介して、各種のタンパク質を脳内の機能部位へと誘導していることが明らかになった。以上の結果は、ジストログリカンの生合成過程において、少なくとも3種類の異なった哺乳類遺伝子が、共通の翻訳後プロセシング経路で働いていることを示している。また、ジストログリカンとリガンドの結合異常が、脳の異常をともなう筋ジストロフィーの発症機序であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る