Letter 細胞:VEGFは細胞内オートクリン・ループ機構によって造血幹細胞の生存を調節する 2002年6月27日 Nature 417, 6892 doi: 10.1038/nature00821 血管内皮成長因子(VEGF)は血管形成と造血における主要な調節因子である。しかしVEGFがこれらの過程を特異的に調節するメカニズムは分かっていない。本論文では、VEGFが造血幹細胞(HSC)の生存をコントロールする調節性ループについて述べる。我々は、マウスでVEGF遺伝子を除去するとHSCの生存、コロニー形成、そしてin vivoでの再増殖の割合が低下することを認めた。VEGF受容体(VEGFR)チロシンキナーゼの、細胞内で作用する低分子阻害剤はHSCのコロニー形成を著しく低下させ、これはVEGF遺伝子を欠失させた状態に似ていた。しかしながら、細胞外で作用する可溶性VEGFR-1の投与によってVEGFを阻害してもその影響は非常に小さかった。これらの結果は、HSCの生存に、VEGFに依存する細胞内オートクリン・ループ機構、つまり細胞内区画に浸透できない阻害剤に対して抵抗性を示す機構が関わっていることを示している。VEGFを欠くHSCの生存と再増殖は、VEGFやVEGFR-2に選択的に結合するリガンドばかりでなく、VEGFR-1アゴニストによっても回復させることができたことから、造血の際のVEGFR-1シグナル伝達の機能が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る