Letter

化学:水溶液中の水和水酸化物イオンの性質と輸送機構

Nature 417, 6892 doi: 10.1038/nature00797

他のイオンと比べると、プロトン(H+)と水酸化物イオン(OH-)は水溶液中で異常に高い移動度を示す。定性的なレベルでは、この挙動は「構造拡散」、つまり、水和イオンの溶媒和殻内の揺らぎによって起こる水和錯体間の連続的な相互交換によって長く説明されてきた。詳細な研究により、プロトン輸送の機構は分子レベルできちんと理解された。これとは対照的に、塩基溶液中の水酸化物イオンの移動度は、塩基と塩基性触媒が多くの有機および生化学反応と化学工業において重要な役割を果たしているにもかかわらず、さほど関心を集めてこなかった。この理由は、水和OH-はプロトンの欠けた水分子と見なすことができ、過剰プロトンの輸送機構において水素結合の極性を単に反転させることで、そのような「プロトンホール」の輸送機構を推測できるという1世紀も前からの考えにあるようだ。しかし、近年の研究により、プロトン水和錯体と構造がほとんど似ていないOH-水和錯体が同定されている。今回、すべての核の量子および熱揺らぎを明確に扱った第1原理コンピュータ・シミュレーションから得た、水和水酸化物の溶液構造と輸送機構を報告する。我々は、輸送機構がプロトンホール概念とはかなり異なり、以前に同定された水和錯体間の相互作用が関与し、核の量子効果の影響を強く受けることを見いだした。

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