Letter 医学:Rac活性化因子Tiam1欠損マウスはRas誘発性の皮膚腫瘍に抵抗性を示す 2002年6月20日 Nature 417, 6891 doi: 10.1038/nature00848 Rhoファミリーのタンパク質は、アクチン細胞骨格と遺伝子の転写を調節するシグナル伝達系を制御している。in vitroの研究から、Rho様GTP加水分解酵素(GTPase)は細胞移動、細胞周期の進行、及びRas誘発性のフォーカス形成に関係していることが示されており、このことはこれらのGTPaseが、in vivoでも腫瘍の形成と進行に何らかの役割を果たしていることを示唆している。これを調べるために、我々はRac特異的活性化因子であるTiam1(Tリンパ腫浸潤転移誘発タンパク質)を欠損するマウスを作出した。本論文ではこのTiam1-/-マウスが7,12‐ジメチルベンズアントラセンによりイニシエートされ、12-O‐テトラデカノイルホルボール‐13‐アセテートによりプロモートされるRas誘発性皮膚腫瘍の形成に抵抗性を示すことを明らかにする。さらに、Tiam1-/-マウスに形成された幾つかの腫瘍については、その増殖が野生型マウスの腫瘍に比べかなり遅かった。Tiam1を欠損する初代培養胚線維芽細胞もまたRasV12 誘発性フォーカス形成に抵抗性を示す。Tiam1ヘテロ接合体の解析から、発癌イニシエーションとプロモーションはTiam1遺伝子量に依存していることが示された。Tiam1欠損は、発癌イニシエーションの際のアポトーシス増加とプロモーション時の増殖抑制を伴った。Tiam1-/-マウスにおける腫瘍形成数は少なかったが、悪性に進行した比率はより大きく、Tiam1欠損により悪性転化が促進されることが示唆された。本研究により、Rac活性化因子であるTiam1がRas誘発性腫瘍形成の別の局面における重要な調節因子であることが確認された。 Full Text PDF 目次へ戻る