Letter 医学:遊離型α‐ヘモグロビンを安定化し、多量に存在する赤芽球タンパク質 2002年6月13日 Nature 417, 6890 doi: 10.1038/nature00803 赤血球の発生は、酸素の運搬体であるヘモグロビンA(HbA)の生産レベルが上がることによって識別される。HbAはα‐、β‐ヘモグロビンサブユットからなるヘテロ四量体である。HbAの合成は、細胞毒性のある沈殿物を形成する遊離型サブユニットの蓄積を最小限にするように調整されている。グロビンサブユニットの安定化、折畳み、もしくはそれらの組み立てを調節する分子シャペロンが存在すると考えられていたが、その実体は同定されていなかった。今回、赤芽球に必須の転写因子であるGATA-1によって誘導される遺伝子群をスクリーニングすることによって、遊離型α‐ヘモグロビンを安定化するタンパク質を同定したことを報告する。アルファヘモグロビン安定化タンパク質(AHSP)は赤芽球に特異的に多量に存在するタンパク質であり、遊離型のα‐ヘモグロビンと安定な複合体を形成するが、β‐ヘモグロビンやヘモグロビンA(a2b2)とは複合体を形成しない。また、AHSPは溶液中および生細胞中において遊離型α‐ヘモグロビンの沈殿を特異的に防ぐ。AHSP遺伝子を除去したマウスでは、網状赤血球増多症や、変性ヘモグロビン染色に陽性を示す細胞内封入体を伴う異常な赤血球形態が見られる。従って、AHSPは正常な赤血球新生に必要であり、おそらく遊離型α‐ヘモグロビンの沈殿による有害な影響を妨げるように働いていると考えられる。また、AHSP遺伝子の導入は、β‐サラセミアのようなα‐ヘモグロビンが過剰になる病態に影響を与えると予測される。 Full Text PDF 目次へ戻る