Letter 環境:アルカリ性が低い森林生態系では菌根菌によるリン灰石の風化は重要なカルシウム発生源である 2002年6月13日 Nature 417, 6890 doi: 10.1038/nature00793 米国北東部の森林生態系におけるカルシウムの減少は酸性物質の堆積の結果であり、現在酸性物質の堆積自体が低下している状況では森林と水生生態系の回復を制限していると考えられている。このカルシウムの減少は、森林生態系のカルシウム源(カルシウム―ケイ酸ナトリウムである斜長石などのケイ酸塩岩中の無機質の風化と大気沈積物)が森林中の河川で観測されるカルシウムの排出量と合わないことを示した研究から推測されている。したがってカルシウムは、森林の土壌中の生物内に取り込まれ交換可能なカルシウムから失われていると考えられている。ここでは、ハバード・ブルック実験林のカルシウム源について、さまざまな土壌、植生及び水文学的水源中のカルシウムとストロンチウム存在度及びストロンチウム同位対比の解析により調査を行った。その結果、リン灰石(リン酸カルシウム)の溶解によって、すでに知られている大気起源とケイ酸塩の風化による発生量に匹敵するカルシウムが供給されることがわかった。さらにリン灰石由来のカルシウムは、主に外生菌根菌と共生した樹木種により利用された。このことは、菌根菌がリン灰石を風化させ、放出されたイオンは、交換可能なイオンの貯留源に入ることなく菌根菌に直接吸収されていることを示唆している。したがって、リン灰石の風化はアルカリ性が低い生態系から失われたカルシウムの一部を補っていると考えられ、土壌の酸化がもたらす影響やカルシウム循環を見積もる際には考慮に入れるべきであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る