Letter 生態:生物多様性は生態系への侵入に対する障壁となる 2002年6月6日 Nature 417, 6889 doi: 10.1038/nature00776 生物の侵入は広範囲にわたり損害も大きい環境問題であり、過去半世紀にわたって管理対策や研究活動が集中的に行われてきた。それでもなお、侵入を受けやすい生物群集を正確に予測することは未だにできずにいる。多様性のある群集は競争力が強く、侵入を容易に阻止すると主張するのが、「多様性による抵抗説(diversity resistance hypothesis)」であり、これは理論研究および小規模空間で実施された実験研究の双方で裏づけられている。だが、局所的なスケールで見たときの自生種の多様性と侵入種の多様性に正の相関性があることを示す説得力ある証拠も出されている。この後者の相関性は、資源の不均一といった、大規模スケールでは自生種と侵入種の多様性と共に変化する外因性の要因から生じるのかもしれないが、局所的なスケールで多様性のある群集が侵入に対して大きい抵抗性をもつようになる仕組みはまだわかっていない。今回我々は、植物競争研究の手法の1つである隣接個体分析法を用いて、実験用草原の小区画における種の多様性が、込み合いや局所的な植物近傍の種の豊富さを増大させて、侵入への抵抗性を高めることを示す。多様性が大きいと、侵入植物の定着(侵入個体の数)も成功度(大きい侵入個体の割合)も低下する。これらの結果からみると、局所的な生物多様性は、侵入種が広まるのに対する重要な防御線となると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る