Letter 神経:融合小胞の数によって異なる中枢シナプスのエンドサイトーシス速度 2002年5月30日 Nature 417, 6888 doi: 10.1038/417555a シナプス伝達の際、伝達物質を充填した小胞がシナプス前膜に融合し、内容物をシナプス間隙に放出する。融合後、小胞膜はエンドサイトーシスによって回収され再利用される。このリサイクル機構が、軸索末端での放出可能小胞の恒常的供給を保証している。これまでエンドサイトーシスの速度は、多くの場合強烈で非生理的な刺激を与えた後に測定されてきた。そこで今回、哺乳類の中枢シナプスに生理的に穏和な刺激を与え、1個および複数個の小胞の融合と回収の過程を電気容量測定で解析した。1個の小胞の融合後のエンドサイトーシス時定数は56ミリ秒で、1個または2Hz以下の一連の活動電位による融合後の時定数は115ミリ秒だったが、活動電位の頻度や数を増やすと徐々に大きくなり、数十秒にまで達した。この結果から、放出活性帯でのエキソサイトーシス速度が増大するとエンドサイトーシスの速度が減少することがわかる。この結果は既存のモデル、Ca2+によるエンドサイトーシスの抑制では説明しきれず、未回収の小胞膜が前シナプス膜に蓄積することがエンドサイトーシスを遅らせていることを示唆する。この知見によって、エンドサイトーシス速度の刺激頻度依存性についての論議に決着がつくとともに、エンドサイトーシスの調節が短期のシナプス抑圧現象に一定の役割を果たしている可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る