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聴覚:マイクロ秒オーダーの両耳間時差の符号化に不可欠な厳密な抑制

Nature 417, 6888 doi: 10.1038/417543a

左右の耳へ音が到達するマイクロ秒オーダーの時間差(両耳間時差、ITD)は、低振動数の音源の所在を決めるための主要な手がかりである。従来、ITDは、異なる長さの軸索を通して両耳からの興奮性入力を受ける(これを「遅延系列」という)時一致検出ニューロンの列によって符号化され、聴覚空間の方位角地図が作られるものと考えられてきた。しかし、哺乳類のITD検出器である内側上オリーブ(MSO)に、そのような地図が実在することを示す決定的証拠はまだない。また、MSOニューロンへには時間的にきわめて正確なグリシン性の抑制性入力があるが、この役割もわかっていない。今回スナネズミのMSOから生体内記録を行ったところ、ITD感受性ニューロンの反応が、聴覚空間の方位地図の考え方に適合しないことがわかった。さらに、グリシンやその阻害剤ストリキニーネを局所的イオン導入(ガラス微小管電極への通電による)する実験から、厳密に時調整されたグリシンによる抑制が、生理的な範囲でのITDのMSO内符号化機構にきわめて重要であることもわかった。両耳から興奮性の入力を受けると同時に、反対側から時間的に厳密な抑制性入力を受ける時一致検出ニューロンの反応をコンピュータモデルでシミュレートした結果、上の結論が支持された。

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