Letter

視覚:目の光学的不完全さは波長差による像ぼけへの対策か

Nature 417, 6885 doi: 10.1038/417174a

光学的にいって、目では波長によって網膜上で焦点を結ぶ位置は異なる。この現象は、光軸上の色収差、すなわち波長によって屈折力が異なるために起こる。したがって網膜上の像の質は、異なるクラスの錐体光受容細胞が異なる波長に吸収帯を合わせている以上、クラスごとに異なったものになるはずである。たとえば、目が長波長(L)錐体と中波長(M)錐体の最大感度に近い可視光スペクトルの中位波長に焦点を合わせたとすると、短波長光(青っぽい光)はぼけてしまって空間視に寄与できないどころか、その障害にもなりかねない。こうした光学効果は、短波長光を選択的に吸収する黄斑色素の機能や、短波長(S)錐体の数が少ないことの説明に使われている。しかし、これらの説明では、実際の目にある単色収差の効果を無視していた。この論文では、単色収差の効果を考慮に入れると、短波長光の像は従来想像されていた程にはぼけず、S錐体の作る像の質もL錐体、M錐体の作る像の質と同程度で、黄斑色素は網膜像の改善に関してはさほどの意味をもたないことを示す。

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