Letter 進化:ヒトおよび類人猿では雄においてDNA塩基配列の進化が強く推進される 2002年4月11日 Nature 416, 6881 doi: 10.1038/416624a ヒトの遺伝病研究から雄の変異率は雌より高いことが示唆されており、また、高等霊長類における変異率の雄/雌比(α)は、DNA塩基配列やマイクロサテライトのデータから約4〜6になると見積もられている。しかし最近報告された2件の研究によれば、ヒトのαは2前後にすぎないとされる。この値は、肉食動物や鳥類についての見積もり(α>4)よりも小さい。しかしヒトは肉食動物や鳥類に比べて世代時間が長く、生殖細胞周期の数の性差も大きいため、ヒトのαはこうした動物よりも大きい値になるはずである。我々はこの問題を解くために、ヒト、大型類人猿、小型類人猿(テナガザル類)について、Y染色体上の約10.4キロ塩基(kb)の非コード領域と、3番染色体上にある相同領域の塩基配列を読み取った。その系統樹の内枝から我々が見積もったα値は、5.25(95%信頼区間:2.44―∞)となる。この値は従来の見積もりに近く、最近報告された2つの見積もり値よりも有意に大きい。これとは対照的に、(種特異的な短い)外枝について見ると、αは2.23にしかならない(95%信頼区間:1.47―3.84)。我々は、ごく近縁な種は、古くからの多型やその他の要因のために、αの算定に適さないと考える。加えて、最近の研究でαが少なめに見積もられたことの説明づけも行った。我々の研究は、ヒト上科のαがより高い値であることを再確認し、生殖系列の突然変異の主因はDNA複製の誤りだとする見解を裏づけるものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る