Letter 環境:大規模な熱帯の大気CO2発生源となるアマゾン水系の河川と湿地からの脱ガス 2002年4月11日 Nature 416, 6881 doi: 10.1038/416617a 湿潤な熱帯地方における陸上生態系は、全球の炭素循環に対して重要な役割を果たしている可能性があるが、その内容は現在のところ明確になっていない。大気とのCO2交換に関する全球的な見積もりによれば、熱帯地方はほぼ平衡状態にあるか、あるいは炭素の放出源になっている。これに対して地上での見積もりでは、成熟した熱帯雨林が吸収する炭素の量は熱帯の森林伐採により放出される量(1.6GtCyr-1)と同等かあるいはそれよりも大きくなっている。しかしながら、炭素隔離の大きさの見積もりは、森林上でのガスのフラックス(輸送量)を測定したか、あるいは植生や土壌におけるバイオマス蓄積量から求めたかによって流動的である。また、測定手法による誤差によって炭素取り込み率が過大評価されている可能性もあるし、未解明の炭素損失過程が存在している可能性もある。本稿では、アマゾン盆地中央部の河川と湿地からのCO2の脱ガス(放出)が1.2±0.3MgCha-1yr-1にも達する重要な炭素損失過程となっていることを立証する。この炭素は、高地の森林や浸水した森林から輸送されてきた有機物が下流で呼吸作用により脱ガスしたものが起源となっている可能性が高い。盆地全体につき外挿すると、このガスのフラックスは0.5GtCyr-1となり、河川による海への有機炭素輸送量よりも1桁大きくなる。以上の結果から、我々は、熱帯雨林全体の炭素収支が、陸上および水中の環境について合計すると、高地での研究のみによる推測よりも平衡状態に近いと考える。 Full Text PDF 目次へ戻る