Letter 生態:ハイイロアザラシのメタ個体群における移住パターン 2002年3月28日 Nature 416, 6879 doi: 10.1038/416424a 新たな生息場所への移住は、メタ個体群生物学における基本過程だが、これを調べるのは難しい。確立した個体群からの移住生物の移動は、元の生息地で個体群密度が高くなって生じる資源をめぐる競争によって引き起こされる可能性がある。移動距離も、再移住の頻度や規模を決定し、ひいてはメタ個体群の空間的スケールを決定するため、重要である。これらの要因は伝統的に個体群統計学の手法を使って調べられてきたが、これには労力がかかり、また、適用が可能なのは実験上扱いやすい生物種のみである。多くの場合、遺伝子レベルの差異は非常に小さく、そのため、遺伝学の伝統的な手法では移住生物の元の居場所をはっきり特定するのが難しい。本稿では、遺伝学データ、個体群統計学データ、地理的距離のデータを統合する、ベイズの定理を使った手法を報告する。我々はこの手法を、英国のハイイロアザラシのメタ個体群研究に適用した。このメタ個体群では、過去数10年の成長率が年6%である。我々の手法では、遺伝学データを使うことにより、3つの新たに見つかったコロニーへの加入パターンが異なることが明らかになり、また、メタ個体群動態に密度依存性の分散があることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る