Letter 遺伝:酵母の量的形質遺伝子座の構造解析 2002年3月21日 Nature 416, 6878 doi: 10.1038/416326a 自然集団に見られる表現型の多様性の大半は、種類の違いというよりも程度の差によるものである。しかし、こういった量的形質の基盤となる遺伝子の同定は難しい。そのため、その遺伝子構造はほとんど解明されていない。うまく行かないのは、その表現型に対する多数の遺伝子のかかわり方がさまざまであること、遺伝子や環境因子の組み合わせが異なっても似たような表現型が生じ得ることが理由と考えられている。本研究では、ゲノム全域の地図作製と相互半接合解析と名付けた遺伝学の新手法とを組み合わせて、酵母Saccharomyces cerevisiaeのある量的形質遺伝子座(QTL)を完全に解析した。このQTLの構造は予想以上に複雑だった。密に連鎖した3個の量的形質遺伝子は、単独では必要十分とはならないが、互いにシスにもトランスにも機能的連鎖が認められた。このような対立形質の構成によって、ホモ接合体よりもヘテロ接合体の方が適応力が増す雑種強勢という現象が説明できる。また、ヒトの遺伝病など、他の生物の形質にも応用できる可能性があるQTL解析の、現在行われている方法に欠陥があることも明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る