Letter 進化:自家受精する植物において繁殖の保証にかかる遺伝的コスト 2002年3月21日 Nature 416, 6878 doi: 10.1038/416320a 植物における他配から自家受精への移行は、進化において最もよく見られる傾向の1つである。花粉媒介者や潜在的配偶相手が不足したときに自己受精により種子産生を確実にするのが、繁殖の保証(reproductive assurance)である。繁殖の保証は、自家受精が進化したことの説明として、最も古くから最も多くの人々に受け入れられてきた。しかし、この説を実験で検証した例はほとんどない。さらに、自家受精による自律的な種子産生を確実にするような、植物の一見適応的な多くの機構は、自家受精しなければ他家受精する胚珠を使っている可能性がある。こうした「種子の割引(seed discounting)」は、自家受精でできた子孫が他家受精でできた子孫よりも生存能力が劣る場合(これは頻繁に起こる)に、コストが高くつく。繁殖の保証がもたらす受精上の利益については、「種子の割引」の観点からはまだ検証がなされていない。今回我々は、繁殖の保証の実験的計測と、自家受精、種子の割引、近交弱勢のマーカー遺伝子計測法を組み合わせた。そして、キンポウゲ科のカナダオダマキ(Aquilegia canadensis)のオンタリオ州個体群10例を2年間追った結果から、自家受精による繁殖の保証は種子産生を増大させるが、それによる利益よりも種子の割引や近交弱勢のほうが大きく上回ることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る