Letter 地球:東南極氷床底に凍結したボストーク湖の湖水の起源と行く末 2002年3月21日 Nature 416, 6878 doi: 10.1038/416307a ボストーク湖は遺伝物質を貯蔵する類まれな氷底湖で、そこには適応の異なる生物が生息している可能性があるが、まだ湖が直接探査されたことはない。湖とその上の氷床は密接に関係している。すなわち氷床の厚さによって湖の循環が駆動されている一方で、氷床の底面における融解と凍結によって水の流れ、生物相、および湖を通した堆積物が調整されている。本稿では、氷透過レーダーのデータと表面の氷の速度に対する全球測位システム(GPS)による測定値を用いて、ボストークコア採取地点での氷の流れの軌跡を再現する。その結果、氷床には湖に沿った顕著な流れ成分があり、最終氷期極大期から持続していることがわかった。氷が氷床底面に凍結(集積)する速度は湖岸沿いで最大となっており、集積した氷の層はそののち湖の外側へ輸送される。この新しい流れ場と速度の測定値を用いて、氷がボストーク湖を横断する時間を16,000〜20,000年と見積もった。これまでに解析されたボストーク湖の氷はほとんど湖の西岸に近い氷床に集積したもので、したがって流出口をもつ湖の典型例とは言えない。南側の湖岸に沿って湖外へ輸送される集積した湖水量の見積もりから、湖水の滞留時間は約13,300年となる。 Full Text PDF 目次へ戻る