Letter 生理:一酸化窒素は、一酸化窒素合成酵素のイソ型の局在化によって心臓を調節する 2002年3月21日 Nature 416, 6878 doi: 10.1038/416005a 一酸化窒素(NO)合成酵素をエフェクター分子に細胞内で局在させることが、NO情報伝達の重要な調節機構である。心臓では、NOはL型Ca2+チャネルを阻害するが、筋小胞体(SR)のCa2+放出は促進し、心筋の収縮性にさまざまな影響を及ぼす。ここでは、特異的なNO合成酵素のイソ型の局在化が、この過程を制御していることを明らかにする。内皮のNO合成酵素(NOS3)はカベオラに局在し、そこにβ‐アドレナリン受容体やL型Ca2+チャネルとともに局在化することによって、NOはβ‐アドレナリンによる収縮変力性を阻害する。しかしニューロンのNO合成酵素(NOS1)は、心臓のSRを標的としている。NOがin vitroでリアノジン受容体(RyR)を介してSRのCa2+放出を促進することは、NOS1が、NOS3とは逆に収縮力強化作用をもつことを示唆している。今回我々は、NOS1欠失マウスでは収縮変力性が抑えられるのに対しNOS3欠失マウスでは収縮力が増強されること、その原因はSRのCa2+放出がそれぞれに応じて変化するためであることを明らかにした。NOS1-/- マウスとNOS3-/-マウスは、どちらも加齢に応じて心肥大を来すが、高血圧になるのはNOS1-/-マウスだけである。NOS1/3-/-ダブルノックアウトマウスは、β‐アドレナリン応答が抑制され、心室の著しい変形という表現型も併せもつ。このようにNOS1とNOS3は心臓の構造と機能に、それぞれが独自に、場合によっては逆の作用を及ぼす。 Full Text PDF 目次へ戻る