Letter

心理:目で見る動きを聴く

Nature 416, 6877 doi: 10.1038/416172a

聴覚による空間知覚には、視覚的手がかりが強く影響する。たとえば、聴覚刺激と視覚刺激が同時に異なる位置から与えられると、音源は視覚刺激の位置方向にずれて定位され、これを腹話術効果という。こうした「視覚的捕獲」は運動知覚についても起こり、視覚対象が動くと動かない音源も動いたように感じる。この論文では、ヒトの知覚系が聴覚と視覚からの相補的な入力をどのように関係づけるかについて調べた。奥行き方向への視覚的動きへの順応によって、聴覚的な残効が生じる。正方形が奥行き方向に動く映像を数分間眺めた後には、実際には定常な音の音の大きさが逆方向に変化するように知覚される。聴覚刺激と視覚刺激が同方向に動くような組合せに対して順応するとこの残効は強まり、方向が逆だと視覚順応の効果はほとんど消失する。しかし逆に、強さが変わるような音を聴かされても、視覚的に大きさが変化するように感じられる残効は生じない。この結果から、奥行き運動の処理では、聴覚系は音の強さ変化と視覚的奥行き運動の両者に反応するという心理物理学的証拠が得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度