Article 進化:何度も繰り返されたアフリカからの進出 2002年3月7日 Nature 416, 6876 doi: 10.1038/416045a 1987年にヒトのミトコンドリアDNAのハプロタイプ系統樹が発表されたのをきっかけに、人類進化の上で比較的新しい部分の詳細をめぐって論争が起こり、今も続いている。現在ではいくつものハプロタイプ系統樹が得られており、これを使って進化史の仮説を検証する新しい解析方法も1つならず存在する。ここでは、ミトコンドリアDNA、Y染色体DNA、X連鎖領域2か所、常染色体領域6か所についてのヒトハプロタイプ系統樹を客観的データに基づいて統計分析した結果を報告する。整合性のある人類進化の構図が浮かび上がってきたが、大事な点は2つある。1つは、現生人類の遺伝子プールを形作るうえで、アフリカが果たした役割が圧倒的に大きかったことである。ホモ・エレクトスが最初にアフリカから外へ広がった後に、少なくとも2回(1回ではない)、大規模なアフリカからの進出があった。もう1つは、ヒト集団間での遺伝子交換が普遍的に起こっていたことである。地理的な距離という制約を受けた遺伝子流動の繰り返しと集団の大規模な広がりの両方によって、集団の置き換えではなく遺伝的交流が起こったのである。 Full Text PDF 目次へ戻る