Letter 医学:トキソプラズマの毒性には、ピリミジンの新生合成が必要である 2002年2月21日 Nature 415, 6874 doi: 10.1038/415926a トキソプラズマToxoplasma gondiiは広く存在する病原性の寄生虫で、重い先天性異常や、免疫無防備状態にある患者で致命的となるトキソプラズマ脳炎を引き起こす。原生動物に属する寄生虫については、必要不可欠な細胞内複製や病原性に関して、ようやく基本的な性質が明らかになり始めたばかりである。トキソプラズマでは、ピリミジン塩基を原虫自身や宿主細胞から回収、再利用する経路は断片化したものが1つあるだけで、この限られたピリミジン再利用力は、もっぱらウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼだけを経ている。だが、この酵素の機能を破壊しても、増殖型虫体(タキゾイト)の成長には影響しないことから、成長にはピリミジン新生合成(de novo合成)経路が必要だと考えられる。我々は、in vivoでもピリミジン新生合成が必要かどうかを確かめるために、カルバモイルリン酸合成酵素IIをもたないトキソプラズマ変異株(ウラシル要求株)の毒性について検討してきた。今回、トキソプラズマのウラシル要求株が、免疫応答性をもつBALB/cマウスだけでなく、インターフェロンγをもたないマウスにおいても、毒性を全く示さないことを報告する。ウラシル要求株をBALB/cマウスに1回注射すると、トキソプラズマ症に対する長期の防御免疫が誘導される。これらの結果は寄生性原生動物の毒性にピリミジンの新生合成経路が重要であることを指摘するもので、またワクチンや化学療法の開発方法を示唆するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る