Letter 化学:硫酸の内部形成による17世紀の軍艦バーサ号の劣化 2002年2月21日 Nature 415, 6874 doi: 10.1038/415893a 17世紀のスウェーデンの軍艦バーサ号は、ストックホルム港の冷たい半海水中から333年ぶりに良好な状態で引き揚げられた。船の肋材を安定化させ、乾かすためのさまざまな処理の後、1990年からバーサ博物館で展示されてきた。しかし最近、木材表面の多くの場所で高い酸性度と硫酸塩の急速な広がりが観察された。今回、おもに樫材の梁の表面に硫酸塩の濃縮がみられるだけでなく、元素状硫黄が梁の内部に蓄積しており(質量で0.2〜4%)、中間酸化状態の硫黄化合物も存在することを示す。元素状硫黄の総量は、完全に酸化されれば5,000kgの硫酸が生成する量である。還元硫黄は、おそらく梁が無酸素水にさらされていたときに染みこんだ硫化水素から生成したもので、完全に腐食した鉄のボルトから放出されたり、引き揚げ後に入り込んだりした鉄化学種が触媒となって酸化されたと考えられる。よって、バーサ号や他の海洋考古学的文化遺物の木材の酸加水分解を抑えるための処理は、硫黄と鉄化合物の除去に焦点を合わせるべきである。 Full Text PDF 目次へ戻る