Letter 神経:NMDA受容体サブユニットのNR3ファミリーを含む興奮性グリシン受容体 2002年2月14日 Nature 415, 6873 doi: 10.1038/nature715 グルタミン酸受容体のN‐メチル‐d‐アスパラギン酸型(NMDAR)は、ニューロンの発生や可塑性あるいは神経変性を含む中枢神経系の生理・病理的過程で重要な機能を担っている。通常のヘテロマー型NMDARは、NR1サブユニットとNR2A-Dサブユニットから成り、活性化にはグルタミン酸とグリシンの2種のアゴニストを必要とする。それらはCa2+に対して高い透過性をもち、Mg2+による電位依存的阻害を受ける。NR3AサブユニットをNR1、NR2サブユニットと共発現させると、NMDARの活性が変化する。今回、NMDARファミリーの最後のメンバーであるNR3Bのクローニングを行い、その性質を調べた。NR3BはNR3Aと高い相同性を示すが、in situハイブリダイゼーションや免疫組織化学の解析で、主として運動ニューロンに発現しており、NR3Aがより広い分布を示すのと対照的である。意外なことに、ツメガエル卵母細胞で共発現させると、NR3AあるいはNR3BはNR1と集合して、グルタミン酸やNMDAには影響を受けない興奮性グリシン受容体が作られ、これは通常のNMDARのコアクチベーターとして知られるD‐セリンによって阻害される。さらに、このNR1/NR3AあるいはNR1/NR3B受容体は、Ca2+透過性の比較的低い陽イオンチャネルを形成し、Mg2+やMK-801、メマンチンや通常のNMDARの拮抗的阻害剤の作用を受けない。NR3ファミリーのメンバーを含む大脳皮質ニューロンでは、グリシンがバースト発火を引き起こし、膜パッチ解析でもD‐セリンによって抑制されるグリシン応答性単一チャネルが記録される。グリシンは通常抑制性伝達物質と考えられている。しかし、これと対照的に、NR1/NR3AあるいはNR1/NR3BというNMDAR群は興奮性グリシン受容体の一種を構成している。 Full Text PDF 目次へ戻る