Letter 進化:海洋を経由した分散によるカメレオン類の放散 2002年2月14日 Nature 415, 6873 doi: 10.1038/415784a 歴史生物地理学においては、共通の地球史によって生じた祖先生物の分布が分断された過程について一貫したパターンを探る手法に大きな比重がかけられる。このような分断生物地理学研究の主眼は、南半球の温帯大陸間の関係と超大陸ゴンドワナの分裂に置かれてきた。ゴンドワナ超大陸のマダガスカルとアフリカ大陸への分裂と一致する生物地理パターンをもつと考えられる数少ない現生の陸生脊椎動物の一例がカメレオン類である。本稿では、52のカメレオン分類群に関する分子レベルおよび形態レベルの証拠を用いて、単純な分断史とは一致しない系統・地域分岐図の裏づけを示す。種の放散を促進したのは、ゴンドワナ超大陸の分裂ではなく、海洋を経由した分散であり、最節約的な生物地理仮説では、カメレオン類の起源がマダガスカルであることや、複数回の「マダガスカル脱出」でアフリカ、セーシェル諸島、コモロ諸島、そしておそらくレユニオン島へと分散したことが裏づけられている。インド洋地域の他の陸生動物群については分散があったことは明らかだが、今回の研究成果は、マダガスカルからの種の分散が相当程度あったことを示し、またさらに、海洋を経由した分散が種分化の前兆となりうる事象として重要であることを強く示すものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る