Letter 気候:大気熱機関による極方向の熱輸送 2002年2月14日 Nature 415, 6873 doi: 10.1038/415774a 地球上で赤道から極への大気による熱輸送は、大部分は中緯度地域の嵐により行われている。これは地球の気候に関する基本的特徴だが、これを十分に記述できる理論はない。これまでの研究では、極方向への熱輸送は特定の水平方向の長さおよび速度スケールを持つ渦の拡散として特徴づけられてきたが、これらのスケールがどのような値であるかについては論争が続いている。ここでは、その代わりに傾圧帯(強い温度勾配と活発な渦が存在する領域)を、温度の高い領域から低い領域へと熱を輸送することにより渦の力学的エネルギーを生成する熱機関と見なすことを提案する。このように見ることにより新しい速度スケールがもたらされる。そこで我々はこれまで提案されていた長さおよび速度スケールと今回のスケールにつき、強制条件と境界条件を変化させることで渦の性質を変更した数値気候シミュレーションを用いて検証してみた。その結果、渦の速度は今回の新しいスケールに沿って変化するが、渦の大きさはよく知られたRhinesのβスケールに従って変化することがわかった。我々の結果は、大気中の渦による熱輸送に新たな知見を加えただけでなく、これまではコストの高い大気大循環モデルによってのみ可能であった、中緯度地方の嵐の強度の推定を容易にしている。 Full Text PDF 目次へ戻る