Letter

化学:担持型金属クラスターが触媒するアルケンの水素化におけるリガンド効果の観察

Nature 415, 6872 doi: 10.1038/415623a

均一系有機金属触媒と多くの酵素は、反応物を金属原子に配位させることで活性化する。すなわち、反応物はリガンドとなり、その反応性は金属配位球の中の他のリガンドによって制御される。担持型金属クラスターの場合、触媒性能は担体と、吸着した反応物、中間体、生成物とに影響される。吸着物は通常、リガンドとして扱われる。一方、酸化物やゼオライトに担持されている金属クラスターが担体の酸素原子と化学結合を形成しているが、担体の影響は通常、電子的相互作用によると見なされている。今回、4個のイリジウム原子からなる担持型金属クラスターの構造を直接観察し、プロペンの水素化中にクラスターに結合している炭化水素リガンドを同定したので報告する。我々は、プロペンがプロピリジンリガンドを、分子状水素が水素化物リガンドを形成することを見いだした。一方、2種の反応物を同時に担持型イリジウムクラスターに与えると、触媒によるプロパン生成反応の際の反応性中間体がリガンドとなった。これらの中間体は四面体型イリジウムクラスター内の結合とクラスターと担体の間の結合を弱める。担体のMgOをγ-Al2O3で置き換えると、反応物由来のリガンドとクラスターの間の結合に影響を与え、それによって個々のリガンドの存在量にも影響を与えるため触媒活性は10倍に上がる。担体と反応物由来のリガンドが互いに影響を与え合うこと、つまり担体とリガンドがそれぞれ、その相手方と金属クラスターとの間の相互作用に影響していることは、担体をうまく選ぶことで担持型金属触媒の触媒特性が調節しうることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度