Letter 生態:南米の汚染されていない森林では、窒素は主に溶存態有機物質を経て減損する 2002年1月24日 Nature 415, 6870 doi: 10.1038/415416a 温帯林における窒素循環の概念モデルおよび数値モデルでは、窒素は大部分が硝酸塩やアンモニウムイオンといった無機態をとって温帯林生態系から出ていくと想定している。これらの無機態のうち硝酸塩は特に移動性が高く、窒素が地下深部の土壌や流水に流出して減損する原因になっていると考えられている。だが、化石燃料の燃焼や化学肥料の製造、土地利用の変化といった人間活動により、広域の窒素循環が実質的に変化し、自然の窒素循環と人間が引き起こした窒素の移動を見分けることが難しくなっている。本稿では、南米温帯にある汚染されていない原始林100例から得た河川化学データについて報告する。これらの観察場所では、生態系の栄養循環に影響を与える環境要因(気候や土壌母材、生態系発達の時間、地形や生物の多様性など)が多種多様にわたっているが、窒素減損パターンはすべての森林を通じて驚くほど一致していた。汚染された地域の森林で得られた知見とは対照的に、河川水の硝酸塩濃度はきわめて低く、硝酸塩/アンモニウムイオンの比は1未満にもなっている。また、これらの森林からの窒素減損の大部分は溶存態の有機窒素のせいである。したがって我々は、森林の栄養循環モデルにおいては有機窒素の減損を考慮すべきであり、温帯林生態系では栄養物質が有限だという観察結果を説明するのに、そうしたモデルが役立つ可能性があると考える。 Full Text PDF 目次へ戻る