Letter 生化学:α‐溶菌プロテアーゼのエネルギー状態では速度論的安定性により活性状態の長さが最適化される 2002年1月17日 Nature 415, 6869 doi: 10.1038/415343a タンパク質の進化の過程において生物学的活性を最適化しようとする選択圧は、タンパク質を効率よく折りたたまなければならないという条件によって制約を受ける。ほとんどのタンパク質は、自発的に折りたたまれて熱力学的に安定で活性をもった本来の状態になることで、この問題を解決している。しかしながら、細菌細胞外に分泌されるα‐溶菌プロテアーゼ(αLP)の場合には、これらの2つの過程が共役していない。αLPの本来の状態は熱力学的に不安定であるが、変性が起こると、折りたたみ直しには数千年を必要とする(t1/2は1800年)。αLPの折りたたみは、酵素前駆体に含まれるプロ領域が触媒として働くことで起こるが、プロ領域は折りたたみが完了すると分解される。αLPが本来の状態に保たれるのは、ほどけた状態との間に大きな速度論的障壁(t1/2は1.2年)があるからである。つまりαLPの折りたたみに関して、2つの全く異なった状況が存在している。ひとつはプロ領域があって折りたたみが制御される状態であり、もうひとつはプロ領域がなく、構造がほどけることが制約されている状態である。本論文では、このように折りたたみ過程と構造がほどける過程とを別々にすることによって、熱力学的に安定な状態に折りたたまなくてはならないという制約が解除され、本来の状態の動的なゆらぎが顕著に低い酵素が進化したことを示す。構造のゆらぎが小さいことで、タンパク質分解酵素への感受性が最適レベルに抑えられ、これによりαLPは相当長い間機能できるようになった。 Full Text PDF 目次へ戻る