Letter 医学:ウイルスが細胞傷害性Tリンパ球から逃れて失敗に終わったアカゲザルのエイズワクチン 2002年1月17日 Nature 415, 6869 doi: 10.1038/415335a エイズワクチン候補が引き起こす強力なウイルス特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答によって、病原性ウイルスに曝露してもウイルス複製が抑えられ、臨床症状の進行が防げることが、最近アカゲザルでの研究で明らかになっている。本稿では、このCTLによる免疫防御が、ウイルスがCTLによる認識から逃れるために結局は機能しなくなる可能性があることを明らかにした。これまでに、CTLによって認識されなくなる変異ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したヒト、サル免疫不全ウイルス(SIV)に感染したサルで報告されている。今回、同齢のアカゲザル集団にワクチン接種し、次いで病原性をもつサルヒト融合免疫不全ウイルス(SHIV)に感染させたところ、ウイルスのCTLエピトープ内での変異頻度がウイルス複製レベルと相関した。血漿中のウイルスRNAが検出できない程度に低い1匹のサルでGagCTLドミナントエピトープに一塩基変異が起こると、CTLからウイルスが逃れ、爆発的なウイルス複製と臨床症状の進行、エイズの合併症による死亡につながった。今後数年間はCTLを基盤とするエイズワクチンが多くの人に投与されることになりそうだが、今回のデータは、CTLによる認識からウイルスが逃れることがこの種のワクチンの大きな限界になる可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る