Letter 神経:RIM1αはシナプス前性の長期増強に必要である 2002年1月17日 Nature 415, 6869 doi: 10.1038/415327a 記憶と学習の細胞機構の強力な解析モデルである長期増強(LTP)は、哺乳類脳では二つの型に大別できる。一つはシナプス後細胞のNMDA(N‐メチルd‐アスパラギン酸)受容体の活性化を要するものであり、もう一つは苔状繊維LTPとよばれ、シナプス前細胞成分が重要な役割を果たす。苔状繊維LTPは、海馬の苔状繊維シナプスや小脳の平行繊維シナプス、皮質視床間シナプスなどで起こり、プロテインキナーゼAの活性化を必要とする機構が働いているとみられる。したがって、この型の長期可塑性の成立には、プロテインキナーゼAのシナプス前性の基質が不可欠だと思われる。ノックアウトマウスを使った研究から、苔状繊維LTPにはシナプス小胞タンパクのRab3Aが必要だが、プロテインキナーゼAの基質であるラブフィリン、シナプシンI、シナプシンIIは関わっていないことが示されている。今回、RIM1αを欠くマウスでは、海馬と小脳で苔状繊維LTPが起きなくなることを見出した。RIM1αはシナプス活性帯タンパク質の一つであってRab3Aと結合し、しかもタンパクキナーゼAの基質でもある。この結果は、苔状繊維LTPが成立する際の伝達物質放出の長期間にわたる増加が、シナプス小胞とシナプス前膜活性帯との界面でGTPに依存して起こるRab3AとRIM1αとの相互作用が関わる単一の機構によって行われていることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る