Letter 化学:1‐ヨードプロパンイオンの光解離におけるコンホメーション特異的経路の観測 2002年1月17日 Nature 415, 6869 doi: 10.1038/415306a 多くの分子は単結合の周りを自由に回転でき、それにより異なるコンホメーション間で相互変換を起こす。1,2‐二置換エタンのゴーシュ形とアンチ形はこのようなコンホメーション異性の古典的例である。室温では回転が速く起こるものの、いくつかの反応で見られる生成物の選択性は、コンホメーションに依存する反応機構によって説明されてきた。コンホメーションだけが異なる反応物分子が反応経路上の別の場所に位置するなら、それぞれが異なる反応を受けるだろう。しかし、この効果を直接証明するのは難しい。コンホメーション異性体を隔てるエネルギー障壁は非常に低いので、常温常圧条件では反応物分子が複数のコンホメーションをとるからだ。しかし、異なるコンホメーション間の相互変換を抑えるのに十分な低温にすれば、ゴーシュ形とアンチ形の1‐ヨードプロパンイオンが選択的に生成する。今回、1‐ヨードプロパンイオンの光解離の際に放出される運動エネルギーがイオンのコンホメーションに強く依存することを示す。熱力学的な議論とab initio計算とから、この運動エネルギー放出の違いは反応機構の違いによるもので、ゴーシュ形1‐ヨードプロパンイオンは2‐プロピルイオンを生じ、アンチ形1‐ヨードプロパンイオンはプロトン化シクロプロパンイオンを生じることが示された。これらの発見から示されるのは、よく知られたコンホメーション選択の概念が反応制御の単純な方法の基礎をなしており、場合によっては、化学反応の制御のためにレーザービームの位相やパルス形状を利用するもっと複雑な方法の魅力的な代替法になるということだ。 Full Text PDF 目次へ戻る